忍者ブログ

飛魚的悲哀

それを持ち上

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

それを持ち上

もうすぐここが戦場になりそうだった。人々は飛行車と呼ばれる、空を飛ぶ自家用車みたいな乗り物に家財道具を積み込んで逃げていく。
 メレッサも、朝から逃げる準備で大忙しだった。当座必要なものを荷造りしなければならない。
「ぼやぼやしないの、なに、やってたのよ」
 セシルが怒鳴る。
「すみません」
 メレッサはセシルには逆らわないことにしていた。家族全員柏傲灣の品物の荷造りで手が回らないのだが、そんな事を説明すれば、セシルはもっと怒るだけだった。
「何、入れてんのよ!!」
 メレッサが、はち切れんばかりに荷物が入ったカバンを閉めようしたら、セシルが怒鳴る。
「これは、いらないって言ったでしょ」
 セシルは足でカバンを蹴飛ばした。カバンの中身が床に飛び出してしまった。
「これは、持っていかないの。飛行車の中は狭いんだから」
 セシルは、散らばったカバンの中身から衣類を3枚ほどほおり投げた。
 メレッサはちらばった荷物を呆然と見ていた。これをもう一度荷造りし直さなければならない。まだ、自分の荷物には何一つ手を着けていないのに。でも、仕方がない、メレッサはしゃがみ込むと、もう一度カバンに詰め始めた。
「メレッサ! ふてくされた顔をするん韓國 泡菜じゃないの。あんたら親子も連れて逃げてあげようと言うのよ。もっと感謝しなさい」
 セシルは床にしゃがんでいるメレッサを上から怒鳴りつけた。

 メレッサは16才。母がこの家に住み込みでメイドをして働いていて、その母と二人で暮らしていた。中学を卒業してからは母を手伝ってメレッサもメイドとして働いていたが、この家には同じ年頃の子供がいるので彼らの下で働くのは辛かった。ここには4年いるが、幼い時から似たような生活だった。
 メレッサはカバンに荷物を詰め終わると、げた。
「車まで、運びます」
「さっさと、やって。のろまなんだから!」
 何をやってもセシルから怒られる。セシルは小さなカバンを一つ準備しただけなのに……
 飛行車までカバンを運んで荷台に押し込んだ。車の中はもう荷物でいっぱいだ。
「これで、終わりか?」
 この家の主人、タラントさんが険し狗糧推薦い顔で聞く。でも、自分の荷物がまったく準備できていない。
「私の荷物がまだです。少し待ってもらえますか?」
「ばか! 何ぐずぐずしている。おいていくぞ!!」
 タラントさんが激しい剣幕で怒る。朝から、タラントさん一家の荷造りでそんな時間がなかったことぐらいわかってくれてもいいのに。
「すみません、すぐ、やりますから」
 あわてて、自分の部屋に駆け込んだ。
PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

P R